Artek 「スツール 60 ヴィッリ」 木材の価値はニュースタンダードへ - KIDZUKI
Category木と作る
2023.10.16

Artek 「スツール 60 ヴィッリ」
木材の価値はニュースタンダードへ

フィンランドのインテリアブランド〈Artek(アルテック)〉は、シグネチャーとも言える家具「スツール 60」の生誕90周年を記念したさまざまな特別モデルを発信しています。その中でイタリアのデザインスタジオ、Formafantasma(フォルマファンタズマ)との初の協働で「スツール 60 ヴィッリ」を開発。木材を自然そのままに近い状態で、無駄なく大切に使用することを提唱した製品は木と家具、それらを取り巻く社会にあらたな価値基準をもたらします。

森林への興味と課題から、製品開発の根幹を再定義する「Wild Birch=自然そのままの白樺」

フィンランドの森林に対する強い興味と、工業化と気候変動が森林に及ぼす影響への懸念をともに抱いてきた〈アルテック〉と〈フォルマファンタズマ〉。2020年にロンドンの『サーペンタイン・ギャラリー』で開催された〈フォルマファンタズマ〉の展覧会「Cambio」が今回のコラボレーションの大きなきっかけでした。

「Cambio」は工業化と環境危機が同時に進行する現在、林業と木材産業を継続的に調査し、大きな変革の訪れを提唱するプロジェクト。後に〈アルテック〉と〈フォルマファンタズマ〉は、フィンランドの森の現状と、アルテック製品の製造や物流、サプライチェーンとの関係性のリサーチを行いました。その進行中の調査結果は、2022年にヘルシンキのDesignmuseoで開催された展覧会「Cambio ― on finnish Foresty」で発表され、そして今回製品として発表された「スツール 60 ヴィッリ」の誕生へもつながっています。〈フォルマファンタズマ〉の進行中の研究が、森を中心とした〈アルテック〉の製品の生産過程に反映される。両者の親密な協働が、これから先のアルテック製品開発の根幹を形成することになったのです。

〈アルテック〉と〈フォルマファンタズマ〉による「Wild Birch」と呼ばれる新しい木材選定基準。そこには、森林のあるがままの美しさを讃えるとともに、現代社会への少しの皮肉を込めたストーリーが込められています。近年、フィンランドの木材には、幹の中でも樹皮側に近い部分の特徴的な模様、幹の芯の濃い色の部分、枝の節、昆虫による跡など自然ならではの特徴がますます多く表出するようになりました。しかしその自然素材ならではの不揃いな品質を平等に捉え、個々の木材に表れる自然が刻む痕跡を唯一無二の証として認めています。これまで〈アルテック〉が適用してきた木材選定基準を再考し、自然ならではの個性が表出したバーチ(白樺)材を、アルテック製品の素材として幅広く用いるという新たな基準の導入。それは、サステナビリティに対する新たな価値の提案、そしてこれまでの家具業界のシステムを見直す大きなきっかけにもなるでしょう。

自然そのままの白樺を肯定する「スツール 60 ヴィッリ」

こうして「スツール 60 ヴィッリ」が完成。「ヴィッリ(Villi)」とはフィンランド語で「野生」や「自然そのままの状態」を表す言葉です。その名の通り、木材に現れる節や色の濃い部位、昆虫による形跡など、木材がもつ個性を生かし、森林から生み出されるあらゆる可能性とバリエーションを製品に落とし込んでいます。2023年に90周年モデルとして発表されましたが、2024年よりアルテックのスタンダード製品として製品ラインナップに加わります。

4種の特別モデル – バーク、ノット、コア、トレイル

「Bark(バーク)=木材の樹皮に近い部分の模様」、「Knot(ノット)=枝の節」、「Core(コア)=幹の芯の濃い色の部分」、「Trail(トレイル)=昆虫による痕跡」は、それぞれの名前の由来である木材の特徴が製品として表現され、それぞれ異なる金属製の釘でその部位が強調されています。さらに、それぞれの特徴が掲示されています。

Stool 60 Bark – 木材の樹皮に近い部分の模様

Stool 60 Knot – 枝の節

Stool 60 Core – 幹の芯の濃い色の部分

Stool 60 Trail -昆虫による痕跡

世界で各モデルにつき90 脚の数量限定生産、直営店のArtek Helsinki、Artek Tokyo Storeの店頭、およびArtek Japan公式サイト、日本ではエル・ショップのみの限定発売です。

10月20日(金)に開催されるKIDZUKI CARAVANでもゲストスピーカーとして登壇するフォルマファンタズマ。今回のアルテックの協働やフィンランドの森のリサーチやそこから得た見解など、彼らの視点やアイデアにも注目が集まります。

Artek(アルテック)
アルテックは1935年、アルヴァ・アアルト、アイノ・アアルト、マイレ・グリクセン、ニルス=グスタフ・ハールの4人の若者により「家具を販売するだけではなく、展示会や啓蒙活動によってモダニズム文化を促進すること」を目的に、ヘルシンキで設立されました。今日、アルテックのコレクションは、フィンランドの巨匠たち、そしてグローバルに活躍する建築家やデザイナーによる家具や照明器具、ホームアクセサリーが揃っています。それらは一様に、機能性に基づき、詩的なまでに明快なデザインです。創業者の精神を受け継ぎ、アルテックは今日でもデザイン、アート、建築の交点に立ち、未来への道を切り開き続けています。

Formafantasma(フォルマファンタズマ)
フォルマファンタズマは、現代のデザインに影響を及ぼす生態的、歴史的、政治的、社会的な力についての調査と研究を根幹においたデザインスタジオです。アンドレア・トレマルキとシモーネ・ファレジンにより2009年に設立されたフォルマファンタズマは、私たちを取り巻く自然環境と建築空間の双方についてより深い考察を促し、物質的、技術的、社会的、および言語的な可能性をもつ革新的な媒介としてデザインを提案することを目的としています。

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