木に関するあらゆる可能性を見つけ出すための「KIDZUKI」のなかでも、客観的なデータを元に木を捉えていく連載コンテンツがこの『KIDZUKIのチャート』です。 第1回となる今回は、これから日本国内または地方における様々な木や森林の現状に向き合う前の、まずは世界の統計データで視野を広げていきます。 「木を見て、森を見ず」にならないための、木の世界標準を知ります。
地球上の陸地、約3分の1が森林。およそ半数が熱帯地域に偏在
国連食糧農業機関(FAO)は1946年以降加盟国と協力して、世界の森林資源を定期的に分析・評価しています。ここで紹介する統計データ「世界森林資源評価2020(FRA2020)」は、1990年から2020年の間の、236の国および地域における60以上の森林関連指標の現状と傾向を分析した最新の報告書となっています。
まずは世界の森林面積の確認から。森林はすべての陸地の31%、約40億6000万haを占めており、その分布の多く(45%)は熱帯地域である。次いで、亜寒帯、温帯、亜熱帯の順となっています。また国別に見ると、世界の森林の半分以上(54%)はたった5カ国、ロシア連邦、ブラジル、カナダ、米国、中国に分布しています。
減少スピードは鈍化するも、世界の森林面積は減り続けている
1990年以降、一部の国において森林減少が低下したことや、新規植林や自然増加により、全体として森林が純減していくスピードは1990年から2020年にかけて鈍化してはいます。1990年から2000年には年平均780万haであった減少面積が、2000年から2010年には520万ha、2010年から2020年の470万haまでに低下しています。それでも1990年以降に世界が失った森林面積は1億7800万haもあり、これはリビアの国土全体の面積に相当。一国の領土が消滅する広さであるというショッキングな状況が見えてきます。
守りたい天然林・原生林、人工林の純増でも歯止めかからず
世界の森林の93%(37億5000万ha)は天然林で、7%(2億9000万ha)が人工林となっています。天然林は焼き畑農業や畜産業の進出、伐採、さらに人為的な要因によるもの以外に、異常高温や干ばつ、落雷などによる森林火災の多発などの気候変動要因により1990年以降減少を続けています。その一方で人工林面積は1億2300万ha増加しています。ただし、ここ10年間の人工林面積の増加スピードは以前よりも鈍化する傾向となっています。
また原生林(在来種で構成され、明確な人為活動の痕跡がなく、生態系プロセスが著しく乱れてはいない森林)は、世界に少なくとも11億1000万ha存在するとされているが、1990年以降で8100万haが減少したとされています。
また世界的に、1990年以降で生産を主たる目的とした(木材および非木材林産物の生産のために管理されている)森林面積は一定であるが、木材生産を含む多目的利用森林面積は約7100万ha減少しています。
>>次回 KIDZUKIのチャート「Vol.2 日本の森林と国産材供給 篇」に続きます。