MEC Industry現代の暮らしを創る”総合林業事業会社” - KIDZUKI
Category木と作る
2023.03.24

MEC Industry
現代の暮らしを創る”総合林業事業会社”

国産木材を活用した事業を通して「森」に健全な循環を生み出し、持続可能な「まち」を創造するという新たなビジネスモデルを掲げ、2020年に設立した〈MEC Industry(メックインダストリー)〉。現代の環境や課題と向き合いながら、一気通貫で行う”総合林業事業会社”の強み、そして未来への展望とは? 鹿児島県湧水町の工場を拠点に、日本そして世界へ向けた彼らのチャレンジが、鹿児島からはじまっています。

国産木材を活用した総合林業事業会社のスタート

鹿児島県の北部、霧島連山の麓に位置する湧水町。日本の名水百選「丸池湧水」をはじめきれいな湧水が多く、町名の由来にもなっている自然豊かな町です。この町に2022年本社工場を本格稼働したのが〈MEC Industry〉です。SDGsやカーボンニュートラルの達成を目指しながら、新たなビジネスモデルで国産木材の活用に取り組んでいます。

〈MEC Industry〉 は、三菱地所をはじめとした、建設会社や設計・施工、資材生産、木材活用といったジャンルの7社の企業の出資を受けて設立された「総合林業事業会社」です。各社の持つノウハウを活かしながら、高品質な商品を安定的に安く提供するために、丸太の調達から加工、製材、商品の開発、製造、販売といった川上から川下までの一連の工程を一気通貫で行う「総合型最適化モデル」を大きな強みとしています。

製材棟、製造棟、ボイラー棟、バークヤード棟、オフィス棟、受付棟から成る90,845㎡もの広大な敷地の〈MEC Industry〉鹿児島湧水工場。

そしてそのビジネスモデルをもって、新たな木(もく)の活用がはじまっています。世界的に中高層の木造建築が進んでいるいま、日本でも新たな国産木材の可能性を探求。同社では現在3つの事業が中心となっています。

写真提供:MEC Industry

新建材事業

RC造(鉄筋コンクリート造)・S造(鉄骨造)で使われる建材の一部を「木」に置き換えた、新たな建材を開発・供給する事業。鉄筋と木を組み合わせて開発し特許も取得した「MIデッキ」は、既存工法の建物に「木」の機能性や優れた意匠性を付加することはもちろん、建設時の施工負担低減も可能となり、工期短縮を図ることができます。

写真提供:MEC Industry

MOKUWELL事業

天井と床にCLTを活用し、あらかじめ工場で作った部材を現場で組み立てる工法を用いた「MOKUWELL HOUSE」は、低価格で高品質、しかも高性能という自由なライフスタイルを提案する規格型の戸建です。大部分を工場で作るため品質の安定性が高まり、工場組立により現場での施工手間を省き短工期での建築を実現。ウッドデザイン賞2022最優秀賞を受賞するなど、木を使った取り組みとしても評価されています。

https://mokuwellhouse.jp/

木有活事業

同社の事業活動において生まれる、あらゆる山林資源を活用した商品を開発・提供する事業です。これまで活用されいなかった資源はもちろん、自社商品になる前の部材も建材等として供給。同社の事業活動から廃棄されるものを失くす試みを推進しており、森林資源の循環と新たな市場の開拓を目指しています。

鹿児島という土地で見出すさまざまな価値

「鹿児島、熊本、宮崎の木は成長が早く、森林資源が豊かです。日本で一番使われている杉の木で絞ると3本の指に入る産地であるため、九州で拠点を探すのが一番合理的でした。あとは、将来的に製品をアジアへの輸出することを考えると、志布志港から出荷するのがコスト的にも安価ということも踏まえて鹿児島を拠点に決めました」

そう語るのは、MEC Industry株式会社取締役副社長(2023年1月の取材当時)の伊藤康敬さん。三菱地所に在籍していた頃からCLT材に着目し、それを軸とした一気通貫の新事業を三菱地所社内で提案したところから、この事業がスタートしました。

工場が本格稼働をはじめてから1年。「今も走りながら作っていっている」と伊藤さんは言いますが、製品開発だけでなく着実にこの周辺地域や人々にも大きな影響を与えていることも、この事業の大きな特徴とも言えます。

「鹿児島では、木を所有しているのに管理されずに放ったらかしのような状態になっている山も多くあります。木の価値についてまだまだ認知が低いように思いますし、宝の持ち腐れだなと思うんです。我々が鹿児島にやってきたことで、この地域に刺激を与えているということは少なからずあると思いますね。その刺激というのは、それぞれの立ち位置によって受け止め方が違うと思うのですが、厳しい状況であればあるほど、我々の存在をとても前向きに受け止めてくださっているように感じます。変わらなきゃいけないんだけど、どう変わっていったらいいかわからない。でも一気通貫で事業をおこなっているMEC Industryとだったら、”自分の山を生かせるのではないか”とか、”仕事が増えるのではないだろうか”など、何か一緒にできるのではという考えをもった方からの問い合わせも多数いただいています。それは鹿児島に限らず、近県の熊本、宮崎からもですね。そういったお話を、どう具現化してどう変化させていくべきか。まだ模索中なことも多く、明確にお答えできないというジレンマもあるのですが、楽しみでもあります」

”伸びしろ”しかない、国産木材の可能性

あたらしい場所での、あたらしい事業。「まだ認知度も低いし、今は産みの苦しみの段階」と慎重に言葉を運ぶも、国産木材の魅力と可能性を信じる伊藤さん。

「以前はRC造(鉄筋コンクリート造)マンションの開発を行なっていて、自分が構想したものが設計会社で図面化されて、どんなトリッキーなものも当然のように寸分の違いもなく図面化されていたので、それが建築なんだと思っていました。木に関しては、素材としてはいろんな柔軟性はあると思いつつも、結構不便な材料だなという印象でしたし、まだまだ工夫が必要で、手がかかる。でもだからこそ、かわいいみたいな(笑)やりがいがありますね。RC造やS造の建築が高すぎるならば、木造建築の可能性をちゃんと作っておかないと、職人も減っているしこの先の建築はどんどん厳しくなる。宮大工も減っているなかで、伊勢神宮が20年に一度、技術を伝承させるためにも修復をおこなっているように、我々もやり続けることで会社のDNAを作っていかなくてはなりません。少し背伸びをしてでも、難しい案件に関わることで社内の経験値を上げていきたいです」

「MOKUWELL HOUSE(CLTを使った戸建)もMIデッキ(天井の木質建材)も、最初から明確に決めていたわけではなく、こんなビジネスモデルがあったらおもしろいと思って提案し、形になっていきました。ここからネットワークを増やしていけば、きっといろんなことが成し得ると思いますし、木と関係ないと思う人でも話してみたいと思ったら会ってみる。そうやっていろんな人やことを巻き込んで何かを起こしていくことがおもしろい。木には伸びしろがたくさんあるんです」

今後も木の良さを大切にしながら、革新的な木質商品の開発や発展、中高層建築における木造・木質化の可能性を探り続ける〈MEC Industry〉 の挑戦に注目です。

INFORMATION

Company MEC Industry
Photos momoko japan
Writing KIDZUKI

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