Story 18磨かれちゃった木
奈良県

「磨き丸太」とは、樹皮を剥いで乾燥させ、表面を磨きあげた丸太のこと。なめらかで光沢感の木肌が特徴で、古くから日本家屋の建築材として使われています。奈良県吉野の〈森庄銘木〉は、スギ・ヒノキの植林から完全乾燥製品まで一貫しておこない、時間をかけて高品質の磨き丸太を生産しています。今回その中から、磨いた後に、最終的な検品で製品にはいたらなかったものを取得。この磨き丸太だけではなく、加工が施され、完成を目前に廃棄に至ってしまう木の存在も改めて知ることになりました。


Tree has been Polished Away
A “polished log” refers to a log that has had its bark removed, dried, and then polished to achieve a smooth, glossy surface. This type of wood has been used as a building material in traditional Japanese houses for centuries. Morisho Meiboku in Yoshino, Nara Prefecture, conducts the entire process from planting Sugi and Hinoki trees to producing fully dried products, taking time to create high-quality polished logs. From this production, we acquired a polished log that, after being worked on, was ultimately rejected during the final inspection and not made into a product. This experience made me more aware of not only polished logs but also other wood that is processed and almost finished, only to be discarded at the final stage.
OTHER STORY
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Story 01高度経済成長木
大阪府1955年〜1973年頃の高度経済成長時代に日本で増えた「団地」という集合住宅。そしてその敷地内にはたくさんの木が植えられました。それから約50年、その団地は老朽化に伴い建て替えることになり、その影響により木々の伐採もせざるを得なくなりました。団地の住人のみなさんに長く親しまれてきた木を、何らかの形で活かしたいという想いから、今回取得に至りました。このように時代の流れで突如増大してしまった団地とそこに植えられた木は、日本全国にきっとたくさんあるでしょう。もう50年なのか、まだ50年なのか。建物と木、それぞれがあり続けるための姿を、今あらためて考えさせられます。
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Story 02戦後を支えようとした木
三重県1950〜60年代にかけて戦後の復興需要によってスギやヒノキなど、成長が早く建築用材に適した針葉樹の植林が一斉におこなわれました。しかし急斜面など伐採に適さない地形にも植樹が及び、間伐期を迎えても伐り出されずに育ちすぎてしまった木も全国的に多くあります。今回三重県亀山市を拠点に地域の木で住まいやオーダー家具を手がける〈ノッティーハウスリビング〉から取得した木もその一部で、同社の親会社である〈三栄林産〉が植林したスギとマツ。植えたあとに林道を整備せず、手入れも間伐もできないという悪循環は、全国的な課題となっています。
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