Story 04小さな御柱だった木
長野県

長野県の諏訪大社で1200年続く、7年毎の宝殿の造り替え、そして御柱を選び、山から曳き、境内に建てるという一連の神事「御柱祭」。「御柱」となるのは樹齢150年、17メートルを優に超える選ばれた16本のモミの大木を指しますが、諏訪近郊の小さな神社では、周りを小さな御柱で囲って結界を作るという風習があります。この小さな御柱は、諏訪大社の大木とは違って引き取り手がないことが現状。そんな御柱を薪として利用してもらうなど、行政が地域の人達に配った中の余りを同じく諏訪に拠点を置き、解体される建物などから古材や古道具をレスキューして販売する〈リビルディングセンタージャパン〉が倉庫に保管しており。その一部を今回取得しました。同じ「御柱」でありながら、大きさや規模によってその価値が変わってしまう現実と向き合う機会となりました。


Tree that was a Small “Onbashira”
At Suwa Taisha in Nagano Prefecture, the “Onbashira Festival” has been held for over 1,200 years. This sacred ritual, held every seven years, involves rebuilding the shrine’s main hall and selecting massive logs— Onbashira — which are then felled from the mountains, hauled by hand, and erected within the shrine grounds. These Onbashira are grand fir trees, over 150 years old and more than 17 meters tall, chosen specifically for the task. In smaller local shrines around Suwa, however, there is a tradition of enclosing the sacred space with smaller Onbashira, forming a symbolic barrier. Unlike the towering pillars of Suwa Taisha, these smaller logs often go unclaimed after their ceremonial use. Some of these logs were distributed by local governments to residents for use as firewood, but surplus pieces remained.These remaining logs were stored by the Rebuilding Center Japan, a Suwa-based organization that salvages and sells reclaimed wood and vintage tools from dismantled buildings. We acquired a portion of these small Onbashira from their warehouse. This experience has prompted reflection on how the perceived value of something — even a sacred object — can shift depending on its size or context, despite sharing the same name and significance.
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Story 01高度経済成長木
大阪府1955年〜1973年頃の高度経済成長時代に日本で増えた「団地」という集合住宅。そしてその敷地内にはたくさんの木が植えられました。それから約50年、その団地は老朽化に伴い建て替えることになり、その影響により木々の伐採もせざるを得なくなりました。団地の住人のみなさんに長く親しまれてきた木を、何らかの形で活かしたいという想いから、今回取得に至りました。このように時代の流れで突如増大してしまった団地とそこに植えられた木は、日本全国にきっとたくさんあるでしょう。もう50年なのか、まだ50年なのか。建物と木、それぞれがあり続けるための姿を、今あらためて考えさせられます。
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Story 09船と共に過ごした木
兵庫県神戸港エリアには、古くから造船工場が連ねており、その事業を縁の下で支えていた木の存在がありました。造船する際に、船台上で船体を支えるために「盤木(ばんぎ)」という角材があります。現在は使われず、倉庫に保管されていたものを取得。船の油を吸い。色が黒く染まっている様が特徴的。この盤木のように、建築や家具などわたしたちが実際に使うものだけではなく、道具として使われる木も多々あります。現在は木ではない素材に置き換わるケースや事業活動の終了によって、タ大量の「困った木」が突如出現することもしばしば。その活用法はもちろん、その存在を知らせるネットワークの強化も必要となってきます。
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Story 14子どもたちを見届けてきた木
福岡県取得したのは、福岡県にある保育園の園庭にあるサクラの木。もともと現園長のお子さんが入ることができる保育園がなかったため、自ら立ち上げたというこの保育園。子どもたちにとってシンボルツリーであるサクラは実は園舎に隣接する公園に生えていた木。少子化や待機児童、統廃合など、さまざまな課題がとりまく保育園の現状。その中で一心発起し、子どもたちにとってよりよい環境を考え、園舎内には植えられなくとも「木」の存在を大切に想い実践した園長の優しさが溢れています。
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