「つくば万博の森」が環境省の自然共生サイトに認定されることが決まりました
株式会社朝日新聞社(代表取締役社長:角田克)が設立した公益財団法人森林文化協会(藤井龍也理事長)は、茨城県つくば市にある国有林「つくば万博の森」(9・87ha)を39年間にわたって維持管理しています。この森林がこのたび、里山として豊かな生態系が保全され、多くの動植物種が生息している区域として、「自然共生サイト」に認定されることが決まりました。
自然共生サイトは生物多様性が民間などの取り組みによって保全されている区域を環境大臣が認定する制度で2023年度に始まりました。国立公園など保護地域と重複しない区域は、国際データベースに登録されます。
■環境省自然共生サイトページ
地球上で生物の絶滅が加速するなか、2030年までに生物多様性の損失を止めて回復に反転させる「ネイチャーポジティブ」や、2030年までに陸と海のそれぞれ30%以上を健全な生態系として保全する「30by30」(サーティ・バイ・サーティ)といった国際的な目標が、G7や生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で示されています。
当協会もその理念に賛同し、生物多様性の保全活動を応援する環境省の「30by30アライアンス」に23年度に加盟。つくば万博の森で、鳥類、植物、地上哺乳類の各分野の専門家の協力を得て生態系調査を実施してきました。その結果、イノシシやタヌキ、ニホンノウサギ、季節によって異なる鳥類、多様な植物など里山に生息する多くの動植物が確認できたことから、国有林である現地を所管する関東森林管理局、遊歩道を管理するつくば市の同意を得て、24年4月に自然共生サイトへ申請しました。
そして環境省の専門家委員会による審査の結果、以下の価値が認められ、このたび自然共生サイトに認定となりました。
・里地里山といった二次的な自然環境に特徴的な生態系が存する場
・生態系サービス(※)提供の場であって、在来種を中心とした多様な動植物種からなる健全な生態系が存する場
・希少な動植物種が生息生育している場
(※)生態系サービスとは水や木材供給、災害抑制、観光やレクリエーション、など豊かな生態系が提供するサービス全般をいいます。
【「つくば万博の森」の概要】
筑波山の南に位置する宝篋山(461m)の中腹(標高約210~400m)に広がる国有林です。面積約9.87ha。関東森林管理局と森林文化協会が分収造林契約を結んで管理。このうち遊歩道(約0.25ha)はつくば市が管理しています。
1985年の「つくば万博」開催を機に、当協会と朝日新聞社がマツクイムシ被害からの森林再生を掲げ、全国約4万2千人から集めた募金をもとに、ヒノキなど約3万本を植林。地元からの要望を受けて宝篋山に多く自生するヤマザクラなども植樹しました。現在も当協会が定期的な間伐や、草刈りなどの維持管理作業を行っています。
森林・里山と企業を結ぶ「30by30 自然共生の森づくりプロジェクト」も推進
当協会は管理が行き届かない都市部の森林・里山と、環境への貢献意欲が強い企業を結びつける新しい取り組み「30by30 自然共生の森づくりプロジェクト」に、2024年度から取り組んでいます。このプロジェクトは、自治体を含む森林所有者と当協会が交渉し、主に都市部近郊の雑木林などを候補地として選定。「企業の森づくり」や環境経営に関心がある企業からの寄付をもとに、森林の整備を進める事業です。
企業の環境経営への貢献、森林を活用した従業員の「ウェルビーイング」の向上、企業と地域との交流などが期待されるとともに、朝日新聞などのメディアで森林保全の活動を紹介することで、企業価値の向上を後押しします。
当協会は、このプロジェクトの協賛企業を募集しています。契約条件として企業は1haあたり100万円を協会に寄付。協会はこれを現地の森林整備や広告宣伝費に充当します。期間は5年間で、更新可能です。
詳しくはこちら→ https://www.shinrinbunka.com/news/30by30/
【森林文化協会について】
森林文化協会は朝日新聞社が創刊100周年を記念して、1978年に設立した団体で、「山(自然環境)と木(生き物)と人の共生」を基本理念に森を守り、育て、地球環境の保全につながる活動を続けています。専門家による調査活動や年報「森林環境」の発行、情報サイト「グリーン・パワー」の配信、各種シンポジウムやイベントを行っています。今回のつくば万博の森の自然共生サイト認定を踏まえ、生物多様性の保全にさらに取り組んでいきます。
〈お問い合わせ〉
公益財団法人森林文化協会
TEL 03-5540-7686 FAX 03-5540-7662
E-mail matsumura@shinrinbunka.or.jp