Story 16河川の安全のために切られた木
愛知県

河川整備は、地域の住民の安全や河川環境に保全に必要不可欠な整備です。しかしその河川敷の安全のために伐採されるいわゆる「支障木」も少なくありません。愛知県豊川市で2023年におこなわれた河川整備ではそんな伐採木の有効活用と処理コストの削減のため、地域の人々の中から希望者に無償で提供する取り組みをおこないました。今回取得した木もその一部。アウトドア用の薪やDIY用など、街と人々が木を循環させる仕組みの広がりを少しずつ実感しています。


Tree Cut for River Safety
Riverbank maintenance is essential for ensuring the safety of local residents and the preservation of the river environment. However, many so-called “hazard trees” are felled as part of this process. In a 2023 riverbank improvement project in Toyokawa, Aichi Prefecture, an initiative was launched to effectively utilize these felled trees and reduce processing costs by offering them for free to local residents who expressed interest. The wood we acquired is part of this initiative. We are gradually seeing the expansion of a system in which trees are circulated within the community, being used for purposes such as firewood and DIY projects.
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Story 01高度経済成長木
大阪府1955年〜1973年頃の高度経済成長時代に日本で増えた「団地」という集合住宅。そしてその敷地内にはたくさんの木が植えられました。それから約50年、その団地は老朽化に伴い建て替えることになり、その影響により木々の伐採もせざるを得なくなりました。団地の住人のみなさんに長く親しまれてきた木を、何らかの形で活かしたいという想いから、今回取得に至りました。このように時代の流れで突如増大してしまった団地とそこに植えられた木は、日本全国にきっとたくさんあるでしょう。もう50年なのか、まだ50年なのか。建物と木、それぞれがあり続けるための姿を、今あらためて考えさせられます。
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Story 14子どもたちを見届けてきた木
福岡県取得したのは、福岡県にある保育園の園庭にあるサクラの木。もともと現園長のお子さんが入ることができる保育園がなかったため、自ら立ち上げたというこの保育園。子どもたちにとってシンボルツリーであるサクラは実は園舎に隣接する公園に生えていた木。少子化や待機児童、統廃合など、さまざまな課題がとりまく保育園の現状。その中で一心発起し、子どもたちにとってよりよい環境を考え、園舎内には植えられなくとも「木」の存在を大切に想い実践した園長の優しさが溢れています。
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Story 15松脂の採取によって弱った木
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