Story 17商品になれなかった木
兵庫県

兵庫県多可町にある間伐材加工品、土木用木材の専門店〈木原木材〉は、足場丸太や木柵など丸棒加工に特化しています。近年では、円柱材の中心部に穴をあけて、鉄棒を通したり木材乾燥の促進を図る等、木材の中心に穴を空ける用途のニーズも高まり、「中ぐり加工機」「芯抜き加工機」という専用機械を導入しています。その機械操作の試験過程では、丸太の中心から穴がずれてしまい、材料にならなかった木も当然あり、その一部を取得。実際に製品化にいたらなくとも、あらたな技術と木の活用の未来を感じさせる、ポジティブな存在です。


Tree that failed to become a commodity
Kihara Mokuzai, a specialized store located in Taka, Hyogo Prefecture, focuses on processed thinning wood products and civil engineering wood materials. The store specializes in round pole processing, such as scaffold poles and wooden fences. In recent years, there has been a growing demand for creating holes in the center of cylindrical wood, for purposes such as inserting iron rods or promoting wood drying. To meet this need, they have introduced specialized machines like “nakaguri” (center drilling) and “shinnuki” (core removal) machines. During the testing process of these machines, some logs had misaligned holes, making them unsuitable for use as materials. Some of these logs were acquired by the user. Even though these logs were not used in final products, they serve as a positive presence, showcasing new techniques and the potential future of wood utilization.
OTHER STORY
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Story 01高度経済成長木
大阪府1955年〜1973年頃の高度経済成長時代に日本で増えた「団地」という集合住宅。そしてその敷地内にはたくさんの木が植えられました。それから約50年、その団地は老朽化に伴い建て替えることになり、その影響により木々の伐採もせざるを得なくなりました。団地の住人のみなさんに長く親しまれてきた木を、何らかの形で活かしたいという想いから、今回取得に至りました。このように時代の流れで突如増大してしまった団地とそこに植えられた木は、日本全国にきっとたくさんあるでしょう。もう50年なのか、まだ50年なのか。建物と木、それぞれがあり続けるための姿を、今あらためて考えさせられます。
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Story 03海に投げ入れられた木
愛知県愛知県弥富市にある製材所〈ヤトミ製材〉は、日本でも数少ない木材の水中乾燥をおこなっている場所です。酸素と日光を遮断することで干割れや日焼けを防ぎ、細胞内に海水が満ちることで、反りやネジレを低減させるなど、様々な効果が期待でき、実は1300年以上の歴史を持ち、伊勢神宮の御用材にも用いられている技法です。この水中乾燥では、木材を完全に浸水させる必要があり、その“重し”として使われていた木を取得。重しの木の多くは流通から外れてしまったもので、ゴミとして処分されることも多いのだそう。傷物、訳ありな木たちをどう活用していくかを探る必要性を感じさせます。
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