天然魚梁瀬杉
発掘プロジェクト
PROJECT YNS
背景と課題
日本三大スギ美林の一つであり、高知県の県木に指定されている「魚梁瀬(やなせ)杉」。特に、天然木の魚梁瀬杉は、淡紅の色合い、ダイナミックでありながらもキメ細かい木目が特徴で、節も少なく、柱材や天井板などに使われる高級建材です。魚梁瀬杉が全国的に知られるようになったのは豊臣秀吉の時代にさかのぼります。洛陽東山佛光寺に大仏殿を建てる際に、土佐藩主・長宗我部元親が献上したことが、元親の家臣であった高嶋孫右衛門正重が記録した「元親記」に記されています。
木造住宅を中心に重用されてきた魚梁瀬杉は林業を馬路村の基幹産業へと押し上げてきました。しかしライフスタイルの変化や他素材の高度化、輸入材の導入等のさまざまな要因により、かつての魚梁瀬杉の伝統を受け継ぐ機運や認知も低下していました。また現在では、天然木と言われる魚梁瀬杉は資源の枯渇により計画伐採事業が休止され、「保護林」に指定されています。
今回、そんな魚梁瀬杉を再興したいという機運が馬路村で沸き起こったきっかけ。それは、倉庫に眠っていた天然魚梁瀬杉の大量の木材在庫。村の人も、森林組合も忘れかけていた貴重なストックでした。しかも今では手に入らない貴重なビンテージ材を活用し、魚梁瀬杉のプレステージや知名度を高め、そして新たな活用事例を見いだせないだろうか? プロジェクトはそうして始まりました。
アプローチ
パートナー
高知県馬路村役場・馬路村森林組合、 トラフ建築設計事務所、 高橋成樹、カリモク家具、 アークテリクス