樹上作業技術を駆使したオブジェ「森の巨人」が目指したのは、世界にただ一つの面白いもの。ALSで障害を抱える発足人がプロジェクトに挑戦する理由 - KIDZUKI

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2024.09.24

樹上作業技術を駆使したオブジェ「森の巨人」が目指したのは、世界にただ一つの面白いもの。ALSで障害を抱える発足人がプロジェクトに挑戦する理由

徳島県三好市の株式会社ゴーゴーアドベンチャーは2011年創業の、ラフティングツアーと森の木立を利用して作られるアスレチック施設の運営会社です。地域の森や川など自然環境を活かして気軽に楽しめるアクティビティを提供してきました。

アクティビティの提供だけではなく地域が抱える環境課題を改善する取り組みとしての「森の巨人プロジェクト」を2022年に立ち上げました。森の中になぜ巨大なオブジェを創るに至ったか、本プロジェクトの進捗や今後の展望について、ご説明します。

「森の巨人」を通じて全国の森から人々にワクワクを届けたい

森の中に「観て」「体験して」「誰かに伝えたくなる」世界に一つだけのものをつくったら訪れた人は喜んでくれるはずだ。ワクワクするものを全国の森につくっていきたい。「森の巨人」は間伐材や廃材を多く使って製作でき、環境に配慮した技術でつくられます。

担い手不足や過疎化により全国に広がる「放置林」。災害を引き起こすリスクも

会社がある徳島県三好市は面積の9割にものぼる広大な森林があります。森林といってもかつて戦後に木材を確保するために杉やヒノキが植林された「人工林」がほとんどで、その多くが過疎化や林業の担い手不足により所有者の管理や手入れが行き届かない「放置林」になっています。

「放置林」になると背が高い杉檜が密集して育つため地表まで光があまり届かず、背丈が低い植物が育ちません。そのため、雨が降ると土砂が流れやすくなったり、逆に保水機能が低下したり、災害のリスクも指摘されています。

そのような「放置林」は全国に広がっており、人の手で間伐を行うことによってリスクを軽減したり、景観を維持したりできます。

荒廃している山林や間伐材が「もったいないなぁ」

会社が設立された2011年当時、事業の一環として山林を適切に間伐する仕事をしていました。そこでは毎日、大量の間伐材が出るのですが回収できずに放置したりしていました。そして荒れた山林を眺めていて頭をよぎるのは「もったいないないなぁ」「何とかしたいなぁ」という思いでした。

そこで2017年に放置林を間伐、整備して作る樹上のアスレチックコースを徳島県三好市につくり、続いて2020年に愛媛県西条市にも作りました。そして年間1万人以上の利用者を地域に呼び込むことができました。

活動家トーマス・ダンボ氏から着想を得て「森の巨人プロジェクト」を発足

もっと地域に人を呼び、今まで何の関心もなかった森林や地域を訪れるきっかけになり、喜んで、感動してもらうにはどうしたらいいんだろう?と考え続けていて思いついたのが「森の巨人」でした。着想を得たのは、デンマークの環境保護の活動家トーマス・ダンボ氏の廃材を使った作品を目にしたのがきっかけです。

しかしオブジェを単純につくるのではなく、私たちが持っているツリーハウス建築やロープワークを使った樹上作業技術を駆使して、森林組合や製材所などが連携すれば世界に例のない」「巨大で」「安全に乗り込める」面白いものがつくれると考えました。

「森に巨人をつくる」前例のない取り組みに疑問と反対の声があがった

プロジェクト開始直後は前例のない取り組みに「森に巨人作ってどうするの?」「採算性は?」と周囲の理解を得にくく、社内からも取り組みに対して「環境課題の解決はうちではなくほかの会社でやればいい」という疑問視する声が上がっていました。

プロジェクト開始直後に発起人がALSに。危機を乗り越えたのはプロジェクト完遂への強い意志

プロジェクトが始まった矢先に、発起人である社長の馬場秀司が体の異変に気付き診断を受けたところ、全身の筋肉が徐々に失われていくALSを発症していることが分かりました。

一時はプロジェクトはおろか会社経営も危ぶまれましたが、しかしどうしてもプロジェクトを完遂させるんだという強い意志で、介護体制を整えるとすぐさまプロジェクトを再開しました。

試行錯誤を通じて製作クオリティを向上。実績を積む中で全国から賛同協力を得られるまでに

そんな中、時間をかけて説明していくと地域の製材所や森林組合、建築会社、特殊伐採の技術を持った林業家などの仲間が徐々に増えていきました。

これまでプロトタイプを合わせると4体の森の巨人を作りましたが、そのクオリティは毎回向上してきています。

最初は棒立ちのようなたたずまいだったものが、手や足の関節、表情、ポーズにダイナミックさが加わりました。安全性を確保するため特殊なロープを海外から取り寄せ、材を保持する金物を地元の鉄工所と協力して開発しました。

地域のステークホルダーからも取り組みに対して理解いただき、地域の製材所や森林組合から廃材や間伐材を集めるのに協力いただいています。

そして昨年2023年9月に開始した森の巨人3号をつくるプロジェクトでは、クラウドファンディングにより建築資金を支援していただきました。地域の企業や有志の方はもちろん、全国の方から取り組みに賛同いただきクラウドファンディングを開始しておよそ1か月で200万円ほどの支援金をいただくことができました。

「森の巨人」がもたらす効果と役割。地域コミュニティの創出と環境意識の向上へ

もちろん森の巨人を見た方はびっくりして感嘆の声を上げて感動して帰って行かれます。そして特徴として「森の巨人」は、森林整備で出る廃材や 間伐材を多く利用しています。 廃材をリサ イクルしアートを創り出すことで、環境課 題の改善や地域資源の有効活用を図って います。さらに、これらの活動は地元のコ ミュニティとの協力を通じて行われてお り、地域の環境意識の向上にも寄与して います。

これまでの活動は、メディアによる報道 や作品のファン、SNSなどでの口コミを通 じて、環境問題に対する取り組みとして広 がりを見せています。また、地域住民や観 光客からの支持を受けて、今後も多くの 人々に影響を与え続けていくと考えています。

 その地域の森林資源を活用すること で、新しい観光コンテンツの創造に貢献 します。巨人アートの活動を通じて、環境 教育や探求学習、地域資源の循環という 観点からSDGsに関連した体験学習コン テンツとも親和性があります。これによ り、地域の子どもたちや観光客は持続可 能な開発目標を学びながら楽しむ機会 を得られます。

さらに、この取り組みは地 域全体の環境意識を高め、持続可能な 社会の実現に向けた意識の向上にもつ ながります。これらを組み合わせること で、地域の魅力と価値を一層高めること が可能であり、地域住民や観光客双方に とって有益な取り組みとなります。

若者世代にも地域への関心を。地域の価値再生のための「森の巨人プロジェクト」

各地には魅力ある観光地がある反面、手入れが行き届かない荒れた森が残っています。 私たちはそんな場所に魅力的なアートを創り出すことで 若者世代にも地域への関心を高め、 足を運んでもらいたいと考えています。 「森の巨人プロジェクト」は、楽しいアウトドア体験とアートによって この地域を訪れる価値のある場所として再生する取り組みです。

全国のアドベンチャーパーク、自然公園、イベント会場、キャンプ場、グランピング施設、道の駅など 候補地があれば現地に伺い作らせていただきます 。自分が住む地域に「森の巨人を作りたい! 」と興味を持たれた方は、ぜひご相談ください。 メール、またはお電話でお気軽にお問合せ下さい。

「インクルーシブな社会の実現」に向けて、ALS当事者として障害をお持ちの方にメッセージを届けたい

「インクルーシブな社会の実現」もプロジェクトの目的には含まれています。alsで重度の障害者が発起人でプロジェクトリーダーであることから、重い障害があっても前向きに人生を楽しみ、夢を追って自己実現や社会参加していけるんだということも全国の障害をお持ちの方などにメッセージとして発信できればいいなと思います。

■森の巨人プロジェクト

URL: https://forest-giant.com/

■クラウドファンディング「CAMPFIRE」

プロジェクト名:【巨大アート×自然環境】全国の森に「あ!」っと驚く森の巨人を出現させよう!

URL: https://camp-fire.jp/projects/690344/view

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