KARIMOKU RESEARCH Survey 01:NEW TRADITION - KIDZUKI

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2025.01.14

KARIMOKU RESEARCH Survey 01:NEW TRADITION

『KARI KARI MOKU MOKU WAKA WAKA』curated by WAKA WAKA

KARIMOKU RESEARCH CENTERでは、2025年1月11日(土)〜3月28日(金)までの間、新たなテーマのもと、2つのエキシビションを開催します。
KARIMOKU RESEARCHが発表する2回目の『Survey』では、ロサンゼルスを拠点に活動するデザインスタジオのWAKA WAKAをリサーチャーに迎え、テーマ『NEW TRADITION』を掲げました。「Tradition(伝統)」に焦点を当てた今回のテーマでは、WAKA WAKAと共にカリモク家具の過去のコレクションや日本の家具のアーカイブをリサーチするところからスタートしました。日本の伝統的な生活スタイルを、WAKA WAKAが拠点にする欧米文化の視点を交えながら再解釈し、新たなスタイルを提案します。展示は、KARIMOKU RESEARCH CENTERの1Fの「THE ARCHIVE」にて行われ、2つの文化が持つ特長を融合させた新しい家具やホームオブジェクトと共に、新しい生活スタイルを紹介します。さらに会場では、WAKA WAKAが過去にデザインしたオリジナルの茶室をカリモク家具の技術で再現。会期中には茶室を使用したティーセレモニーも予定されています。一方、B1Fの「THE STUDY」では、ニューヨークを拠点に活動するデザインスタジオのLichenとのコラボレーションの展示を開催します。Lichenは、戦後の日本の文化様式から生まれたカリモク家具のアーカイブを紐解き、新しい表情のアイテムへと生まれ変わらせました。

2つのデザインスタジオとの展示を通して、『Survey 01:NEW TRADITION』では、過去を振り返りつつ、未来の可能性を模索します。日本独自の家具文化が持つ魅力や長所を再発見し、それを新しい視点で再構築することで、新しい気づきと次世代の未来像が照らし出されることでしょう。

INTRODUCTION OF THE EXHIBITION
『Survey 01:NEW TRADITION』

「What is tradition?」
近年、「Tradition(伝統)」という概念は、アートや文化活動をはじめとする様々な分野で注目を集めています。しかし、「伝統を伝統たらしめるものとは何か?」また、「なぜそれが私たちにとって重要なのか?」といった問いが浮かぶことも少なくありません。KARIMOKU RESEARCHでは、新たなテーマに『Survey 01:NEW TRADITION』を掲げ、これらの問いに深く向き合うと共に、「伝統とは何か?」という根本的な議題と、伝統と未来への革新との関係性を探求します。
WAKA WAKAの創作活動や、同時開催のプログラムとして展示されるLichenの作品を通じて、「伝統」という言葉が内包する本質を再考し、また、新たな価値やビジョンを模索し、未来を担う次世代にとって「新しい伝統」となり得るもの、さらに伝統を守るために必要とされる大胆な変革について、私達の『Survey』の結果や洞察を提示します。さらに、伝統を継承してきた人々との対話を通じて、伝統を守りつつ進化させるための最適な方法も考究します。
『Survey 01:NEW TRADITION』では、カリモク家具が受け継いできた伝統を再評価しつつ、現代の暮らしを見つめ、未来の姿を描き出します。

ABOUT THE EXHIBITION AND OBJECTS 
『KARI KARI MOKU MOKU WAKA WAKA』

伝統とは、日常生活の中で実際に活用することで本質との繋がりを感じ、初めてその重要性に気づきます。伝統は実践の連続であり、信念を宿し、独自の方法論を持つものです。時に心地よさを提供する一方で、違和感をもたらすこともあります。しかし、この違和感こそが、伝統に新たな生命を吹き込み、それを次世代へと繋ぐための重要な契機となるのです。
本展示は、ロサンゼルスを拠点に活動するWAKA WAKAをカリモク家具の工場へ招いたことから始まりました。彼らはカリモク家具が長年培ってきた卓越した技術や職人技とも言える技能に触れ、その視察の中で、和家具や日本の家庭用家具に古くから用いられてきたシルエットや意匠に新たな価値を見出しました。そしてこれらを基盤に、現代の視点で新しいデザインを生み出すことを目指しました。
特にWAKA WAKAが魅了されたのは、カリモク家具の高度な塗装技術と張り込みの技術です。本展示では、これらの技術を駆使して製作された19点のアイテムと、それによって生み出される新しいホームワールドをご覧いただけます。
日本の住まいにおける伝統的な家具は、戦後のアメリカの影響を受けながらも独自の進化を遂げてきました。それは、WAKA WAKAにとって原体験とも言える風景であり、深く印象に残るものでした。この古くからの日本の生活様式から生まれた家具たちに、現代の欧米の視点という新たな機能と意味を加え、新しい家具や様式を生み出すこと、それこそが伝統を守るだけでなく、未来に向けて継承していく1つの手段となるのです。

新たに解釈された日常の家具

日常の家具を再解釈し、新たなムード(感性や様式)を創り出す試みとして、このプロジェクトで“Atmospherizm(アトモスフィアリズム)”という新たなスタイルを提唱します。この言葉は、文字通り“Atmosphere”から派生した造語であり、“Atmospherizm”が持つ空間のエネルギーやトーン、ムードといった要素に着目し、それらを再定義して新たな空気感を創造しようとする概念です。
アトモスフィアリズムがもたらす新しい空間では、これまでの日常があたかも新しい体験のように感じられ、そしてその体験から、既存のものを超越するエネルギーや活力が生み出されます。アトモスフィアリズムは単なる家具の再解釈に留まらず、空間全体にわたる新しい生き方や過ごし方の提案です。部屋を飾るインテリア、境界線としての仕切り、空間そのもの、窓や光、時間や反射といった要素を通じて、新たなトーンと体験を創り出します。

WAKA WAKAがデザインした茶室

会場となるKARIMOKU RESEARCH CENTERの1F「THE ARCHIVE」には、2023年のLA Design Festivalで発表された、WAKA WAKAによる茶室を展示します。この茶室は、千利休作と言われている国宝・妙喜庵「待庵」をインスピレーションにデザインされ、そのサイズも「待庵」とほぼ同スケールで製作されました。本展示では、カリモク家具の技術を使用し、2023年の展示作品とは異なるアプローチで、細部へもこだわった新たな作品としてお披露目します。

茶室は、亭主と客人とが直に心を通わせるための特別な空間です。外界から切り離された別世界で時間を共有するこの空間での体験と、WAKA WAKAとカリモク家具がこの展示のために作り上げた新しいホームワールドを重ねながら展示そのものを楽しんでもらえます。

ABOUT KARIMOKU’ S TECHNIQUES

本展示では展示作品を通して、カリモク家具が長い歴史の中で培ってきた技術の中から、「ポリエステル樹脂磨き塗装」、「張り込み技術」、そして「リアルコート」の3つの技術を紹介します。特に「ポリエステル樹脂磨き塗装」は、別名“ピアノ塗装”とも呼ばれ、木材に鏡面のような輝きをもたらす高度な塗装技術です。この技術は1980年代から1990年代初頭にかけて、カリモク家具の高級製品に広く採用され、高い需要を誇っていました。その仕上がりはピアノの鍵盤が映り込むほどの透明度を誇り、そのための製造工程は非常に精密で複雑でした。しかし近年のデザインの嗜好やライフスタイルの変化に伴い、この工芸的とも言える技術の需要は減少し、カリモク家具内でも埋もれつつある技術となっていました。この「ポリエステル樹脂磨き塗装」の持つ漆塗りにも似た独特の質感は、WAKA WAKAにとって、新鮮で魅力的な発見でした。
また、座面への「張り込みの技術」や、「リアルコート」と呼ばれる鉛筆画のような繊細なグラフィックや色合いを再現できるプリント技術も展示を通じてご覧いただけます。これらの技術は、カリモク家具の中では日常的に用いられているものですが、座り心地の研究や細部へのこだわりと相まって、その可能性をさらに広げています。
今回の取り組みは、WAKA WAKAにとっても初めて塗装技術や張り込みの技術をデザインに取り入れる挑戦となりました。このプロジェクトを通じて、カリモク家具内で埋もれつつある伝統技術に再び光を当てるだけでなく、それらの技術を用いて新たな可能性を引き出すきっかけとなりました。


RESEARCHER
WAKA WAKA
奥田慎一郎氏が木製家具や機能的なオブジェクトをハンドクラフトで手掛けるロサンゼルスを拠点としたデザインスタジオ。作られる作品は、座るオブジェのコンセプトから実用的なオブジェクト、そして空間デザインまでと多岐にわたる。そのどれもがシンプルさ、繊細なディテール、そしてユニークなプロポーションに対する独自の解釈を表現している。
Web:https://wakawaka.world Instagram:@wakawakain

同時開催プログラム
『Karimoku Re:issue by Lichen』

ニューヨークを拠点にヴィンテージ家具のセレクト販売からはじまったデザインスタジオLichenが、カリモク家具と手を取り合い、それぞれの文化を融合させた新たなプロジェクトをスタートさせます。
コンセプトは「Karimoku Re : issue by Lichen」。カリモク家具の往年のソファに独自解釈を加え、新たな表情をもつ家具へと生まれ変わらせたソファを発表します。このソファは、KARIMOKU RESEARCH CENTERのB1F「THE STUDY」で展示され、リスニングラウンジという特別な空間が展開されます。空間には、80年代のカリモク家具のカタログなど、懐かしさを感じさせるアーカイブの要素を取り入れました。
ソファは人々にリラックスと安らぎのひとときを提供する家具です。このラウンジを訪れた人々は、ソファに腰掛けながら読書をしたり、音楽を聴いたり、空想に耽ったりと、思い思いの自由な時間をこの空間で楽しむことができます。その体験を通して、リラックスする時間が特別なものではなく、かつては日常の一コマであったことを思い出すきっかけとなるでしょう。
この空間はまた、訪れる人々に、“今”という瞬間を楽しむことの大切さを気づかせる場でもあります。現代社会において「くつろぐ」という行為を新たな贅沢として再定義し、未来に向けた「新しい伝統」を紹介するプロジェクトとして、特別な体験を提供します。

Lichen
Lichen(ライケン)は、エド・ベとジャレッド・ブレイクによって2017年に設立されたデザインインキュベーター兼スタジオです。家具や空間デザイン、これらの要素との過去と現在の関わり方を探求することを中心に活動しています。
Web:https://www.lichennyc.com Instagram:@lichennyc

KARIMOKU RESEARCH

「KARIMOKU RESEARCH」とは、家具の開発だけに留まらず、カリモク家具が長年培った木工への知見を活かした様々なものづくりを通じて、自社が掲げる「木とつくる幸せな暮らし」というミッションを追求していくプロジェクトです。これまでも家具づくりという枠組みにとらわれない活動を続けてきましたが、この新しいプロジェクトでは、異なる文化圏や世代、また業種など様々な人々が考える豊かな暮らしのあり方を見つめ直し、「木とつくる幸せな暮らし」について探求。調査や開発という一連の過程を発信していきます。このプロジェクトにおいて核となる『Survey=調査』の活動などを通して生まれた成果や軌跡とカリモク家具が持つ技術力を活かし、多種多様なパートナーと共に、家具に留まらない新しいアウトプットの共創を目指します。

住所:〒106-0031 東京都港区西麻布 2 丁目 24-2 
電話:03-6433-5995 
営業日:月曜日-金曜日・祝日(土・日休業) 
営業時間:12:00〜18:00
休館日:不定休
アクセス:東京メトロ表参道駅A5番出口より徒歩10分
Web:https://karimoku-research.com Instagram:@karimoku_research

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