ヒノキの “これまで” と “これから” に焦点を当てる展覧会 『PROJECT HINOKI II』
カリモク家具は、2025年1月18日(土)から 2025年3月22日(土)の間、Karimoku Commons Tokyo 1F ギャラリースペースにて、熊野亘がデザインディレクターを務めるMASの主材「ヒノキ」に焦点を当てた展示『PROJECT HINOKI II』を開催します。 MAS は2024年4月のミラノデザインウィークにおいて、針葉樹を中心とする日本に広がる様々な木材を用いた木工家具ブランドとして「MAS – PROJECT HINOKI -」を発表しました。同展では、MAS の主材である「ヒノキ」に焦点を当て、日本におけるヒノキの歴史や文化的背景を紹介するとともに、現代の暮らしに沿った新しい家具の提案や、国産材を活用するプラットフォームとしてMASの可能性を提示しました。
今回の展示「PROJECT HINOKI II」では、ヒノキが置かれている“これまで”と“これから”の可能性に焦点を当て、さらなる展開を図ります。ギャラリー内のスペースBでは、「MAS – PROJECT HINOKI -」に引き続き、MASのデザイナーであるVille Kokkonenによるヒノキのリサーチを展示。日本各地の主要なヒノキの産地を視察し、伐採現場で使用される道具や映像を交えて、ヒノキを取り巻く現状をリアルに伝えます。一方、スペースAでは、熊野亘のキュレーションのもと、9組の建築家やアーティストなどによるヒノキを活用した作品を展示します。
会期中には、能面の制作現場を直接見学できるイベントや、トークイベントなども予定。展示だけでなく、色々な角度から「ヒノキ」を知ることのできる企画・イベントを催します。展示全体を通じて、ヒノキの“これまで”そして“これから”をテーマに、ヒノキの活用法を提案、ご覧いただけます。ヒノキが持つ豊かな魅力とこれからの可能性を読み解く展示です。
INDEX
SPACE B | Ville Kokkonen によるヒノキのリサーチ
スペースBでは、MASのデザイナー Ville Kokkonenによるヒノキのリサーチを展示します。4月にミラノで開催された「MAS – PROJECT HINOKI -」では、ヒノキの生態や素材としての特性、日本で長く生活の道具として親しまれてきた文化的背景などを紹介しました。今回の展示では、Kokkonenならではの視点でヒノキそのものに迫り、紹介します。 展示に向けて、今年の11月には熊野とKokkonen は、木曽・尾鷲・吉野といったヒノキの主要産地を視察。この視察を通じて得られた洞察をもとに、ヒノキという素材の魅力を紹介します。
視察では、森だけでなく、伐採現場や製材場といった林業従事者の活動現場もリサーチしました。林業は、森と私たちの暮らしを繋ぐ重要な役割を担っています。実際の現場に触れることで、ヒノキが持つ背景についてより深く理解を深めることを目指しました。
展示では、チェーンソーや木登り用のスパイク、土場から木を吊り下げるためのワイヤーなど、現場で使用される道具も紹介します。これらの道具を通じて、伐採や木材加工のリアルな空気感を伝えると共に、ヒノキが抱える現状や課題を浮き彫りにします。
また、ミラノで開催された「MAS – PROJECT HINOKI -」で使用された酒升や湯かき棒といったプロダクトも再展示します。これらを通じて、ヒノキが持つ文化的背景を改めて振り返ります。さらに会場では、これらのアイテムに加え、映像作品などを交え、日本という土地で育まれてきたヒノキの歴史や、現代におけるその役割を多角的に体感していただけます。
Ville Kokkonen
1975年にフィンランドで生まれる。スイスを拠点とする彼のオフィスでは、技術的・科学的発見によって導かれるプロジェクトポートフォリオが多く、活動の中心となっている。コッコネンの作品は、プロダクトデザイン、素材・文化研究、工芸、応用科学、エンジニアリングなど幅広い分野を一体化させることで成り立ち、また、より健康的な生活環境の実現と社会問題の解決へサステナブルなアプローチから生まれる。2017年から2021年までアアルト大学の芸術・デザイン・建築学部で家具デザインの教授職を務め、現在も多くの教育機関で講義を行う。
Web : www.villekokkonen.com Instagram : @ville__kokkonen
SPACE A | 世界的に活躍する9組の建築家やデザイナーによるヒノキの作品
スペースAでは、熊野亘のキュレーションのもと、ヒノキを主材とした作品群を展示します。展示には、日々木材に向き合う9組の建築家、プロダクトデザイナー、木工作家が参加。彼らがそれぞれの視点で生み出した個性豊かな作品が集結します。
会場では、熊野がデザインした「WK Bath Stool」や、MASのデザイナーであるDaniel Rybakkenによる「DR Light」など、MASのプロトタイプ(2025年に製品化予定)が並ぶほか、プロダクトデザイナーの倉本仁、建築家の佐野文彦、鈴野浩一、長坂常に加え、2024年1月に同ギャラリーで展示を行った「さしものかぐのたかはし」の高橋雄二、木工作家の小山剛や盛永省治が参加。さらに、アーティストの本多沙映と熊野が教鞭をとる武蔵野美術大学木工研究室が共同で参加し、それぞれが本展のために創り上げたオリジナルの作品を展示します。
ヒノキという木材が持つ魅力を、独自の視点から生まれたプロダクトでその可能性を探る展示です。作家、建築家、デザイナー、そして学生の手から生まれた未来のヒノキの可能性とその姿を楽しんでいただけます。
参加者一覧
プロダクトデザイナー:倉本仁 (JIN KURAMOTO STUDIO)
木工家:小山剛
建築家:佐野文彦 (Fumihiko Sano Studio)
建築家:鈴野浩一 (トラフ建築設計事務所)
木工作家:高橋雄二 (さしものかぐたかはし)
建築家:長坂常 (スキーマ建築計画)
本多沙映 + 武蔵野美術大学木工研究室
木工作家:盛永省治
デザイナー:Daniel Rybakken (Studio Daniel Rybakken)
キュレーター
熊野亘
プロダクトデザイナー。2001-08年にフィンランドへ留学、帰国後Jasper Morrison氏に師事。2011年にデザインオフィス“kumano”を設立し、環境、機能性、地域性など、背景のあるデザインをテーマにNIKARI、CAMPER、カリモク家具、天童木工などの国内外のメーカーとプロジェクトを手掛ける。2021年にスイスのローザンヌ州立美術学校(ECAL)にて教鞭をとり、同年秋より武蔵野美術大学准教授に就任。
Web:https://watarukumano.jp Instagram:@watarukumano
関連イベント
展示初日の1月18日(土)には、能面職人の北澤秀太氏(北澤木彫所)をお招きし、能面製作のデモンストレーションを行います。ヒノキを活用した伝統的なモノづくりの現場を直接見学できる貴重な機会です。
どなたでも自由に見学できるイベントに、ぜひお越しください。
日程:2025年1月18日(土)12:00-18:00
会場:Karimoku Commons Tokyo
参加:予約等不要
その他、トークイベントなども会期中に予定しています。
詳しくは、MAS公式Instagram、Karimoku Commonsウェブサイトにてご確認ください。
開催概要
会期:2025年1月18日(土) ~ 2025年3月22日(土)
時間:12:00 ~ 18:00
会場:Karimoku Commons Tokyo 1F ギャラリースペース
休館日:日曜定休
企画・キュレーション:熊野亘(スペースA)、Ville Kokkonen(スペースB)
作品出展:倉本仁、小山剛、佐野文彦、鈴野浩一、高橋雄二、長坂常、本多沙映+武蔵野美術大学木工研究室、盛永省治、Daniel Rybakken、Ville Kokkonen
展示グラフィック:上西祐理
主催:カリモク家具
協力:勝野木材、北澤木彫刻所、公益社団法人全国社寺等屋根工事技術保存会、速水林業、ICHI inc.
MAS – New Products –
2025年1月17日(金)、MASより4つの新製品(WK Chair 01 Pad、WK Arm chair 01 Pad、DR Chair 01 Pad、VK Side table 01) が発売されます。いずれのアイテムもKarimoku Commons Tokyoにて実物を展示、実際にご覧いただけます。展示「PROJECT HINOKI II」と併せて、ぜひMASの最新のプロダクトもご覧ください。
MASは、日本に広がる様々な木材との対話によって生まれた、木工家具ブランドです。既成のルールに捉われず、新たな手法や表現を模索することで、普遍的な魅力をまとった価値ある製品を世に送り出しています。素材の本質的な魅力を活かし、様々な環境にも調和する実用的なフォルムは、MASがもつ共通言語のひとつです。控えめでありながら、機能と包容力を兼ね備えた凛とした佇まい。現代の用即美を備えた家具を通じて、人々の暮らしと結びついた美しい景色を創り出していきます。
Web:https://mas.karimoku.com Instagram:@mas_karimoku
カリモク家具の起源は、創業者の加藤正平が長年続く材木屋を引き継ぎ、愛知県刈谷市で小さな木工所を始めた1940年に遡る。様々な木製品を生産することで技術を磨き、1960年代に入ると、自社製の木製家具の販売を開始。高度な機械の技術と職人の技を融合させる「ハイテク&ハイタッチ」という製造コンセプトを掲げて木材生産分野における土台を作りあげ、日本を代表する木製家具メーカーへと成長を遂げる。
Web:www.karimoku.co.jp Instagram:@karimoku_official