客観的なデータを元にあたらしい「木」の視点を備えるための連載コンテンツ『KIDZUKIのチャート』。 今回は、国土における森林の量的なインパクトを把握した上で、森林資源がどれくらい循環利用されているかを知ります。 今後KIDZUKIで取り上げる木にまつわる様々な課題の源流は、これらのチャートから垣間見えてくるかもしれません。
INDEX
日本はフィンランドに次ぐ森林大国。蓄積量は人工林が6割を占める
私たちが暮らす日本は、その国土面積3,780万haのうち森林面積が2,508万haと約3分の2を森林が占める世界有数の森林国です。ちなみに、FAO(国際連合食糧農業機関)による世界の森林率は30.6%となっていて(2015年調べ)、日本はOECD(経済協力開発機構)加盟国のなかではフィンランド(73.1%)に次ぐ森林率なのです。
その森林のうち約6割に相当する1,479万haが天然林等、約4割に相当する1,029万haが人工林となっています。そして森林の蓄積量は人工林を中心に年々増加してきており、2017年3月末現在で約52億m3。このうち人工林が約33億m3と約6割を占めています。
50年生が半数以上。主伐期を迎え、人工林は可能性であり課題に
我が国の人工林は、その半数が50年生を超えており、本格的な利用期(主伐期)を迎えています。主伐期にある人工林の直近5年間の平均成長量を推計すると、年間で約4,800万m3程度と見込むことができます。主伐による丸太の供給量は、近年増加傾向にあるものの、2015年度でも1,679万m3。これは、主伐期にある人工林の成長量と比較すると4割以下の水準となっており、資源の循環利用をさらに進めていくことが可能な状況となっています。
また、森林全体の総成長量(約7,000万m3)(*1)と木材の供給量(2,714万m3)(*2)には更なる乖(かい)離があり、その程度は欧州の林業国と比較しても非常に大きくなっているなど、一層の森林資源の活用を図ることが可能な状況です。
(*1)「森林・林業基本計画」(平成28(2016)年5月)
(*2)林野庁「平成28年木材需給表」(平成29(2017)年9月
1972年以来半世紀ぶりの供給率40%超えも。さらなる国産材供給を期待
人工林が本格的な利用期を迎えた今、「伐る、使う、植える、育てる」といった森林資源の循環利用を確立しながら、多様で健全な森林の整備及び保全の推進、効率的かつ安定的な林業経営に向けた施策を推進していく必要があるとされています。そこで「伐る」「使う」を示す代表的なバロメーターである木材需要と資源豊富とされる国産材の供給について、2020年の最新データから、その推移を見ていきましょう。
木材需要量は2009年を底に増加傾向となっています(2020年は新型コロナウイルス感染症の影響により、前年比9.1%減の7,444万m3)。国産材供給量も2002年を底に増加傾向で、2020年は前年比0.5%増の3,115万m3となりました。木材自給率も同様に上昇傾向で推移しており、2020年は前年比4.0ポイント上昇の41.8%と、1972年以来半世紀ぶりの40%超えを記録しました。
そして2021年6月には、森林・林業に関する施策の基本的な方針となる新たな『森林・林業基本計画』が閣議決定されました。同計画では、森林の整備・保全や林業・木材産業等の事業活動等の指針とするための「森林の有する多面的機能の発揮」及び「林産物の供給及び利用」に関する目標や、森林及び林業に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策等を規定しており、木材供給量目標と総需要量の見通しも盛り込まれ、より一層の供給を目指すこととなりました。
>>次回 KIDZUKIのチャート「Vol.3 林業の動向 篇」に続きます。