東京・町田市の総合学園、学校法人玉川学園による、木の輪を広げるプラットフォーム「Tamagawa Mokurin Project」と「KIDZUKI」が昨年、木を媒介とした取り組みに関する協定を結びました。玉川学園という教育機関とKIDZUKIのネットワークを掛け合わせ、より木への理解、木への親しみが深まる活動が期待されます。そのコミュニケーションの一環として、玉川大学にて毎年行われている「労作」教育のプログラムにKIDZUKIも参加。実際に木に触れることから、これから本格的にスタートする取り組みへのヒントが得られそうです。
KIDZUKI × Tamagawa Mokurin Project
東京都町田市に校舎を構える玉川学園。1929年に創立し、現在大学をはじめ、幼稚部、小学部、中学部、高等部、大学院が集まる総合学園です。広大なキャンパス内には、多様な樹木が数多く生い茂っており、かねてからこの優れた環境をさまざまな教育活動に取り入れてきました。その活動をさらに推進するために、2022年よりスタートしたのが、「Tamagawa Mokurin Project」です。「Mokurin」は「木輪」を意味し、本プロジェクトでは学内で間伐を行い里山を取り戻したり、その間伐の有効活用を図るなど、木の循環を促すための考察や実践を活発におこなっています。そんな玉川学園の活動とKIDZUKIの思想が共鳴し、パートナーとして協定を締結。具体的には、「木を素材とした、ものづくりに関すること」、「森林や木に関する理解を深めるための学校教育や教育プログラムに関すること」、「木を使ったソリューションに関すること」、「SDGsへの取り組み、及び環境課題に対する取り組みに関すること」など、木にまつわるさまざまな取り組みを連携、協力していく予定です。
そこで、新たにパートナーとなったMokurinのことをより深く知るため、彼らの活動にKIDZUKIが参加。創立以来、学生、教職員が手入れを行い育ててきた「聖山」の労作を体験してきました。
玉川学園の「労作」教育を通じた学びを体験
「聖山」とは、玉川学園の丘陵の中でももっとも高い、標高107.19mの丘。開学当初は毎朝生徒たちが集まり礼拝が行われていましたが、次第に樹木が成長し眺望も失われてしまったのだそう。以前のように皆が集まる場所にしたいという想いで、2019年に生徒、学生、卒業生、教職員が一緒になって古木の伐採などの整備に取り組んだことが「聖山労作」のはじまりです。以来、豊かな里山環境を整えるための間伐を毎年行っています。今年の「聖山労作」は2月に実施され、午前と午後併せて合計約70名の学生と、18名の教職員が参加しました。
枯損木・竹など、事前にマーキングされた樹木を対象に、間伐は行われます。木の切り方、運搬方法など段取りの説明のほか、なぜ間伐を行うのか、そして作業エリアの自然環境を学修しながら行うのがこの労作。樹木の伐採は、自然環境を破壊しているとも取られがちな行為。しかし、ナラ枯れなど病気の木や、Co2の吸収が落ちた古い木をそのまま生やしておくと、山そのものが弱っていしまいます。豊かな里山を維持するためには、健康な樹木が育つ素地を作ることが重要。そのために必要な間伐なのです。
間伐後の木の行き先を考える
伐採後の木ももちろん無駄にはしません。学内には、木材低温乾燥装置も備えており、そこで乾燥させた間伐材を教育活動などに活用し、学内で使用するテープカッターや椅子を製作したり、校舎の装飾部材に使用されるなど、積極的に有効活用を行っています。そして、活用されなかった木は炭にして土に還すという、都市域に残された緑地としては、世界初の実証実験にも取り組んでいます。
木を育て、里山を整え、伐採し、ものをつくり、環境保全を行う、といった玉川学園内で行われる木を中心とした循環づくり。それはこの場所のみならず、さまざまな環境において共有・活用すべき取り組みです。これからパートナーとして、ともに広げるネットワークやプロジェクトのためのスタートラインに立つことができた1日だったのではないでしょうか。今後のKIDZUKI × Tamagawa Mokurin Projectは、そのプロセスとともに活動を随時紹介していきます。